推し活 記事 車いす・障害

【観劇レポ】シアターユニット小梅ちゃん 旗揚げ公演「オンリー・ロンリー・ガール・ガール・ガール」

ポイント

1公演で2つの物語が展開する贅沢な構成と、作品の根底に流れる平和への強いメッセージ、そしてキャスト陣のパフォーマンスに心が大きく揺さぶられる公演だった。

2026年10月3日に有楽町I'M A SHOWで上演された「オンリー・ロンリー・ガール・ガール・ガール」を車いすで観劇した際のレポである。

小梅ちゃんとの出会いと、心を動かされた理由

田村芽実さんが立ち上げられた「シアターユニット小梅ちゃん」の旗揚げ公演となる本作品。田村さんご本人との出会いは、7月に放送されたNHKの「うたコン」だった。その足で8月にはポップアップイベント「小梅ちゃん展」へ赴き、なんと田村さんご本人から本公演のチケットを手売りしていただいた。さらに、同じく8月に「秘密の小梅ちゃんクラブライブ」も鑑賞した。我ながら怒涛のハマりようを見せている。
筆者はもともと同世代の方を応援したくなる性分ではあるが、ここまで深く入れ込んだのは、田村さんのクリエイティビティ、技術、そして行動力に強く突き動かされたからにほかならない。

。

錯綜する現実と空想における見事なお芝居

本公演は、児童養護施設出身の3名の女性——田村芽実さん演じるアイカ、伊藤かの子さん演じるシオリ、そして原田真絢さん演じるヨツバの物語である。「普通」になれなかった3名が、その生きづらさや葛藤に苛まれる場面が多く描かれる。
児童養護施設で過ごした幼少期、学生時代、そして現在というめまぐるしい場面転換が非常に印象的だった。そして物語の肝となるのが、「ヨツバは実は学生時代に亡くなっている」という、中盤で明らかにされる事実である。これにより、一見すると3名が会話しているように見えたシーンも、実際にはアイカとシオリの2人しか実在していなかったという構造が浮かび上がってくる。
単なる回想としての時間軸の表現にとどまらず、実際にはいない人物との会話など、現実と空想が複雑に混ざり合う難解な場面設定。その中を違和感なく演じきったキャスト3名のお芝居は見事の一言に尽きる。
特に印象に残っているのは、3名での会話のシーンだ。ヨツバはシオリと遊んでいるときに交通事故で亡くなっており、シオリはその影をずっと引きずっている。そのため、一見すると3人で会話のキャッチボールをしているように見えるが、実際には存在しない(空想上の)ヨツバに話しかけているのはシオリだけであり、アイカはシオリとしか話しておらずヨツバの姿も見えていない。
ヨツバがそこにいることを前提にしたシオリの言動に対し、アイカが見せる、困惑と悲しみが入り交じりつつもどこか呆れたような表情は、脳裏に焼き付いて離れなかった。
物語は明確なハッピーエンドではなく、どこか曖昧なまま幕を閉じる。それは「普通」ではないという現実を、肯定も否定もしない描き方だった。身体障害を持つという意味で「普通」とは異なる生き方をしている筆者は、そこに脚本を担当された田村さんの気配り、あるいは観客に向けられた静かな問いかけを感じ取り、深く胸を打たれた。

車いすでのアクセス

会場である有楽町I'M A SHOWは、有楽町マリオン別館の7階に位置しており、LUMINE2がある建物のエレベーターを利用してアクセスできる。
手売りチケットを購入した際、上手前方扉を入ってすぐの、C列29・30番相当の車いすスペースを指定していた。その扉を出てすぐの場所には多目的トイレが設置されている。
ただし、ロビーから上手前方扉へ向かう通路はそこそこ急な下り坂になっており、本公演では扉自体が締めきられていたため、当日は劇場スタッフさんに依頼して開けていただく形となった。(※URLはいずれも2026年10月10日取得)。

まとめ

シアターユニット小梅ちゃんの旗揚げ公演「オンリー・ロンリー・ガール・ガール・ガール」は、田村芽実さんのクリエイターとしての才能と、キャスト陣の魂のこもった演技がぶつかり合う素晴らしい舞台だった。
「普通」とは何かという重厚なテーマに真っ直ぐ向き合い、観る者の心にそっと寄り添うような温かさと鋭さを併せ持つ、忘れられない観劇体験となった。

-推し活, 記事, 車いす・障害