2025年4月29日に紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで観劇した舞台リンス・リピートのレポである。
演者・作り手のみなさまからの置き土産のような作品
全編を通じてうまくいかない人間関係の張り詰めた緊張感と、歯がゆさに満ちていた。
登場人物がそれぞれ歯車として回り続けているが、どれも嚙み合わない。そんな印象を受けた。
アフタートークでキャストの寺島さんが観客への「提案」のような作品だとおっしゃっていた通り、人それぞれの受け取り方や解釈のできる置き土産のような作品だと感じた。
緩衝材としてのブロディ
個人的に、富本惣昭氏演じるブロディにだいぶ救われた。張り詰めた場面が長く続く分、ギクシャクした人間関係のバランスをとるようなブロディの言動が貴重な緩衝材だった。彼がいなければ精神的な負荷が高すぎて最後まで観劇できなかったかもしれない。ありがとう、ブロディ。
「主人公」、吉柳咲良さん
本作品は吉柳咲良さんが出演されるので観劇した。きっかけは我が推し奥田いろはさんと2024年のロミオ&ジュリエットでWキャストを努められたことだ。歌手としてもデビューされ、活躍の場を広げられていく姿を魅力的に感じていた。
誤解を恐れずに言えば、この観劇を経て吉柳さんはモンキー・D・ルフィのような人だと感じた。
第一の理由は感情表現が豊かであること。レイチェルとして見せる笑顔は終始ぎこちなさや堅さを感じた分、アフタートークでの屈託のない笑顔が印象に残ったと思えば、観客からの質問・感想に涙される場面あった。
第二の理由は、「何かおこしてくれるのではないか」という期待や希望を抱かせてもらえることだ。アフタートークではルッキズムの話題になり、ルッキズムに翻弄され苦しいこともあるが、エンターテイナーとして頑張って発信していく(意訳)という趣旨の話を吉柳さんがされていた。ここ最近のご活躍も考慮すると、希望を抱かずにはいられない。そんな思いがした。
車いすでのアクセス
JRの新南改札および新宿高島屋と直結しているので、劇場までの移動はスムーズだった。
今回は、事前に所定の問い合わせ先(ホリプロチケットセンター)に電話で車いすスペースの空き状況を確認したうえでチケットを購入し、再度電話をして車いすスペースの申請をした。
当日は発券したチケットと車いすスペースのチケットを受付で交換してもらい入場した。筆者の座席は14列5番だった。
劇場にはオストメイト対応の多目的トイレが1箇所、座席そばの出入り口のすぐ近くに設置されていた。